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みどころ

縄文時代のはじまりからおわりまで、日本列島の北から南まで、時代・地域を超えて

「縄文の美」が集結

縄文時代は約1万年ものあいだ続き、東西3000㎞を越える日本列島に広く展開しました。
本展では縄文時代のスケール感をそのままに、その始まりから終わりまで、北は北海道から南は沖縄までを取り上げ、かつてない規模で「縄文の美」を紹介します。
時期や地域を飛び超えて縄文の美を総覧し、その移り変わりや広がり、そして奥深さを体感していただきます。

縄文人が生き抜くために生み出した簡素ながらも力強い形、森や海への感謝や命への敬いのなかで作りだされた神秘の形に圧倒されることでしょう。

史上初

縄文の国宝 全6件集結!

縄文時代の遺跡は、これまでに9万件を超える数が確認されていますが、数多ある縄文時代の出土品のなかでも国宝はたったの6件。
造形の極みともいえるこの6件すべてが、初めて勢ぞろいします!

※「土偶 仮面の女神」、「土偶 縄文のビーナス」は7月31日(火)〜9月2日(日)展示

  • 国宝土偶 中空土偶

    北海道函館市 著保内野遺跡出土
    北海道・函館市蔵
    (函館市縄文文化交流センター保管)
    写真:小川忠博

    頭部から足先まで中空で薄手に形作られた体や全身を飾る精緻な文様は、熟練した土器作りの技術を巧みに応用したものといわれている。
    全身が現存する中空土偶のなかで最大を誇り、北海道唯一の国宝でもある。

  • 国宝土偶 仮面の女神

    長野県茅野市 中ッ原遺跡出土
    長野・茅野市蔵(茅野市尖石縄文考古館保管)
    展示期間:7月31日(火)~9月2日(日)

    顔の表現が仮面をつけたような土偶は一般に仮面土偶という。なかでも一際大きく優美な本例は、「仮面の女神」と呼ばれている。
    墓と考えられる土抗群の一つから出土した「仮面の女神」は、死者への鎮魂と再生を祈るために埋納されたと考えられている。

  • 国宝土偶 縄文の女神

    山形県舟形町 西ノ前遺跡出土
    山形県蔵(山形県立博物館保管)

    「八頭身美人」と評され、堂々たる正面観と先鋭的な印象を与える側面観との差異が際立ち、現代美術に匹敵する造形美ともいわれる。
    他方、顔を表さず性表現を抑えることで、その神秘性を高める工夫を凝らしている。

  • 国宝土偶 合掌土偶

    青森県八戸市 風張1遺跡出土
    青森・八戸市蔵
    (八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館保管)

    縄文時代の土偶のなかには当時の人びとの思いを端的に伝えるしぐさや行為を象ったものがしばしば見られる。本例は膝を立てて座り、胸の前で両手を合わせるその姿から、「合掌土偶」と呼ばれ、祈りの姿そのものとも評されている。

  • 国宝土偶 縄文のビーナス

    長野県茅野市 棚畑遺跡出土
    長野・茅野市蔵(茅野市尖石縄文考古館保管)
    展示期間:7月31日(火)~9月2日(日)

    「縄文のビーナス」の名にふさわしい力強くも柔らかな曲線美は、縄文時代の人びとの女性美の理想を表したかのよう。
    土偶は安産や子孫繁栄を祈るために作られたと考えられているが、まさにその祈りを体現したかのような土偶である。

  • 国宝火焔型土器

    新潟県十日町市 笹山遺跡出土
    新潟・十日町市蔵(十日町市博物館保管)
    写真:小川忠博

    縄文時代にもっとも数多く作られた道具のひとつが縄文土器。そのなかでも圧倒的な存在感を示し、土器本来の役割が煮炊きの道具であったことを忘れさせるほどの造形美を誇るのが火焔型土器である。

国宝に加え、教科書でもおなじみの「遮光器土偶」や、温かみを感じさせる「木製編籠 縄文ポシェット」、縄文時代の人びとの身を飾った色鮮やかで優美な「土製耳飾」などの重要文化財をはじめ、縄文時代を代表する優品を一堂に集めてご紹介します。

くらしの美

重要文化財
木製編籠 縄文ポシェット

青森県青森市 三内丸山遺跡出土
青森県教育委員会蔵(縄文時遊館保管)
写真:小川忠博

重要文化財
木製編籠 縄文ポシェット

青森県青森市 三内丸山遺跡出土
青森県教育委員会蔵(縄文時遊館保管)
写真:小川忠博

素材の特性を生かして作られた、美しさと温かみを感じさせる一品。 編物製品は丈夫で軽く扱いやすいため、さまざまな生活の場面で用いられた。 発見された時、中にはクルミが残っていた。

重要文化財
尖頭器

長野県南箕輪村 神子柴遺跡出土
個人蔵(長野・伊那市創造館寄託)

重要文化財
尖頭器

長野県南箕輪村 神子柴遺跡出土
個人蔵(長野・伊那市創造館寄託)

槍先として必要な機能だけでなく、独特の緊張感みなぎる美を備えている。 狩猟に最適な形として発達した尖頭器は、後世、素材が石から青銅や鉄に変わってもその形は不変であった。

重要文化財
土製耳飾

東京都調布市
下布田遺跡出土
江戸東京たてもの園蔵

重要文化財
土製耳飾

東京都調布市
下布田遺跡出土
江戸東京たてもの園蔵

花弁にもたとえられる優美な透し彫りをもつ土製の耳飾。耳飾の多くは女性が身に着けたと考えられ、年齢や出自を表し、それに応じた役割や権利を示す為のものともいわれている。

重要文化財
硬玉製大珠

栃木県大田原市湯津上出土
東京国立博物館蔵

重要文化財
硬玉製大珠

栃木県大田原市湯津上出土
東京国立博物館蔵

美のうねり

縄文時代( 前期 )

重要文化財
片口付深鉢形土器

埼玉県ふじみ野市 上福岡貝塚出土
個人蔵(東京国立博物館寄託)

縄文時代( 前期 )

重要文化財
片口付深鉢形土器

埼玉県ふじみ野市 上福岡貝塚出土
個人蔵(東京国立博物館寄託)

縄文時代( 中期 )

重要文化財
深鉢形土器

群馬県渋川市 道訓前遺跡出土
群馬・渋川市教育員会蔵

縄文時代( 中期 )

重要文化財
深鉢形土器

群馬県渋川市 道訓前遺跡出土
群馬・渋川市教育員会蔵

縄文時代( 晩期 )

重要文化財
壺形土器

青森県十和田市滝沢川原出土
文化庁蔵
縄文時代(晩期)

縄文時代( 晩期 )

重要文化財
壺形土器

青森県十和田市滝沢川原出土
文化庁蔵

世界の土器と縄文土器

彩陶鉢中国甘粛省あるいは青海省出土 東京国立博物館蔵

時期や地域によって千姿万態の縄文土器の造形美は世界的にも著名で、火焰型土器はその代表ともいえます。一方で、火焰型土器と同時期の世界の土器は、簡素で端正な造形のものが一般的でした。 世界の土器と比べてみることによって、縄文土器の造形美と特徴が際立ちます。

祈りの美、祈りの形

重要文化財
ハート形土偶

群馬県東吾妻町郷原出土
個人蔵

重要文化財
ハート形土偶

群馬県東吾妻町郷原出土
個人蔵

「遮光器土偶」と並んで人気の高い土偶の一つが「ハート形土偶」。ユーモラスな顔がハート形をなすことから、その名がつけられた。極端にデフォルメされた目鼻や体の表現は笑みを誘う。

重要文化材
遮光器土偶

青森県つがる市木造亀ヶ岡出土
東京国立博物館蔵

重要文化材
遮光器土偶

青森県つがる市木造亀ヶ岡出土
東京国立博物館蔵

約1万8000点以上もの土偶が出土しているが、教科書にも登場するこの遮光器土偶が最も著名な土偶といえるだろう。

重要文化財
人形装飾付有孔鍔付土器

山梨県南アルプス市 鋳物師屋遺跡出土
山梨・南アルプス市教育委員会蔵

重要文化財
人形装飾付有孔鍔付土器

山梨県南アルプス市 鋳物師屋遺跡出土
山梨・南アルプス市教育委員会蔵

器面に表現されたかわいらしい人形が目をひく土器である。ときに人や動物を表現することによって、土器は単なる容器としてだけではなく祈りの道具としての役割も担った。

重要文化財
手形・足形付土製品

青森県青森市 大石平遺跡出土
青森県立郷土館蔵

重要文化財
手形・足形付土製品

青森県青森市 大石平遺跡出土
青森県立郷土館蔵

重要文化財
猪形土製品

青森県弘前市 十腰内2遺跡出土
青森・弘前市立博物館蔵

重要文化財
猪形土製品

青森県弘前市 十腰内2遺跡出土
青森・弘前市立博物館蔵

イノシシをはじめ、縄文時代にはしばしば動物を象った土製品が作られた。このような動物形土製品には、動物そのものがもつ力を畏れ敬った当時の人びとの思いが凝縮されている。

いま、注目の高まる「縄文」

縄文土器や土偶に見られるダイナミックな造形は、世界史的に見ても独創的なもの。
1950年代に岡本太郎らが芸術的価値を見出したといわれる「縄文の美」は、近年再び注目され、評価が高まっています。自然保護や自然との共生、デザインやファッション、地域活性化のコンテンツなど、さまざまな切り口で親しまれるようになってきています。
また、土器や土偶に「かわいい」「おもしろい」「楽しい」を見つけ出したことにより、SNSでの紹介も活発になり、一層、私たちの身近な存在となってきています。

岡本太郎-「縄文の美」の発見

考古学者が発見した「縄文」とは異なる縄文の魅力を見出したのが、芸術家・岡本太郎(1911~1996)。「芸術は、爆発だ!」という名言で知られた彼が、「思わず叫びたくなる凄み」と表現し、彼が考える「芸術の本質」に強く揺さぶりをかけたのが、東京国立博物館で出会った縄文土器でした。

深鉢形土器

長野県伊那市宮ノ前出土
東京国立博物館蔵

顔面把手

山梨県韮崎市穂坂町出土
東京国立博物館蔵

柳宗悦が愛玩した岩偶

岩偶

岩手県岩泉町袰綿出土
東京・日本民藝館蔵