縄文時代は約1万年ものあいだ続き、東西3000㎞を越える日本列島に広く展開しました。
本展では縄文時代のスケール感をそのままに、その始まりから終わりまで、北は北海道から南は沖縄までを取り上げ、かつてない規模で「縄文の美」を紹介します。
時期や地域を飛び超えて縄文の美を総覧し、その移り変わりや広がり、そして奥深さを体感していただきます。
縄文人が生き抜くために生み出した簡素ながらも力強い形、森や海への感謝や命への敬いのなかで作りだされた神秘の形に圧倒されることでしょう。
縄文時代の遺跡は、これまでに9万件を超える数が確認されていますが、数多ある縄文時代の出土品のなかでも国宝はたったの6件。
造形の極みともいえるこの6件すべてが、初めて勢ぞろいします!
※「土偶 仮面の女神」、「土偶 縄文のビーナス」は7月31日(火)〜9月2日(日)展示
国宝に加え、教科書でもおなじみの「遮光器土偶」や、温かみを感じさせる「木製編籠 縄文ポシェット」、縄文時代の人びとの身を飾った色鮮やかで優美な「土製耳飾」などの重要文化財をはじめ、縄文時代を代表する優品を一堂に集めてご紹介します。
時期や地域によって千姿万態の縄文土器の造形美は世界的にも著名で、火焰型土器はその代表ともいえます。一方で、火焰型土器と同時期の世界の土器は、簡素で端正な造形のものが一般的でした。 世界の土器と比べてみることによって、縄文土器の造形美と特徴が際立ちます。
縄文土器や土偶に見られるダイナミックな造形は、世界史的に見ても独創的なもの。
1950年代に岡本太郎らが芸術的価値を見出したといわれる「縄文の美」は、近年再び注目され、評価が高まっています。自然保護や自然との共生、デザインやファッション、地域活性化のコンテンツなど、さまざまな切り口で親しまれるようになってきています。
また、土器や土偶に「かわいい」「おもしろい」「楽しい」を見つけ出したことにより、SNSでの紹介も活発になり、一層、私たちの身近な存在となってきています。
考古学者が発見した「縄文」とは異なる縄文の魅力を見出したのが、芸術家・岡本太郎(1911~1996)。「芸術は、爆発だ!」という名言で知られた彼が、「思わず叫びたくなる凄み」と表現し、彼が考える「芸術の本質」に強く揺さぶりをかけたのが、東京国立博物館で出会った縄文土器でした。