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サスペンス・ミステリー
「淵に立つ」予告編

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淵に立つ(映画)の内容

映画『淵に立つ』は、2016年10月に公開されました。

この作品は、日本とフランスの合作のドラマ映画で、第69回カンヌ国際映画祭にて、「ある視点」部門の審査員賞を受賞しました。

監督・脚本を務めたのは、2014年公開の二階堂ふみさん主演、日本・アメリカ合作映画「ほとりの朔子」を手掛けた深田晃司さん。

夫婦と一人娘という平凡な家族に、夫とは旧知の前科を持つ八坂という男の突然の来訪によって不協和音が生じ、残酷な爪痕を刻まれてしまうストーリーで感情と価値観を揺さぶる圧倒的な人間描写、緻密なストーリーテリングに引き込まれる作品です。

主演の前科を持つ八坂役には浅野忠信さんが、筒井真理子さんと古舘寛治さんが夫婦役を熱演し、一人娘役には、テレビドラマ「コンフィデンスマンJP」でダー子の幼少期を演じた元子役の篠川桃音さんが演じていて、他にも、太賀(現・仲野太賀)さん、三浦貴大さんなども出演しています。

 

家族とは仲良く助け合うという常識が通用しない家族の姿を描いた作品。家族同士が憎み合って崩壊する話は数知れずあるが、そのどれとも類似せず、家族はこうあるべきという概念が、この映画には感じられない。常識的な倫理観を受け付けず、とても自由で刺激的だ。共感しにくい物語やキャラクターを、見事に演じた役者陣も素晴らしいし自分のビジョンを貫き通した深田監督の作家性も素晴らしい。

冒頭から不穏さが漂う浅野忠信登場シーン。敬語で喋ったり、姿勢のいい姿、それが逆に空恐ろしい。中盤辺りからヘヴィな展開で見るのが辛かった。重く救いの無い物語で観客に問いをぶつける映画。悪魔的な存在感の浅野忠信さんが特に素晴らしい。

浅野忠信の浮き世離れした存在感がはまっている。彼がまとう服の色(白黒から赤へ)の象徴性も、シンプルだが効果的。生と死、加害者と被害者や罪と罰など、一見対立しそうで混然とよどむ淵に、映画を見終わった私たちがまだ立っていることを教えてくれる。

殺伐とした中を進むこの作品は、とにかく重い。見終わって「ヤバイものを観たなぁ」という感想。役者達の演技が素晴らしい。出演者たちの演技は凄かった。その中でも、筒井真理子さんの演技は飛び抜けてた。他の出演作も観たくなった。

あらすじ

郊外で小さな金属加工工場を営む鈴岡家は、夫の利雄(古舘寛治)妻の章江(筒井真理子)10歳の娘の蛍(篠川桃音)の3人家族で、会話はあまりないもののとくに波風の立たない穏やかな生活を送っていました。

ある日、利雄の古い知人で、最近まで服役していた八坂草太郎(浅野忠信)が現れます。利雄は章江に断りなく八坂を雇い入れ、自宅の空室を提供し奇妙な共同生活が始まります。

突然のことで章江は動揺しますが、八坂の人当たりの良さと誠実さに好感を持ち、娘の蛍も教会でのオルガン演奏の練習にもアドバイスしてくれる八坂になついていきます。すっかり家族のようになった八坂は、章江に殺人を犯したことを告白します。それを聞いた章江は彼に揺るぎない信頼を寄せていたことで、八坂への感情が愛情に変るきっかけとなります。しかし、ある日、章江を押し倒すのに失敗した八坂は娘の蛍に暴行を加えて失踪します。

8年が経ち、工場は平穏を取り戻しますが、家族には傷跡が残されていました。蛍は障害者となり、章江は蛍の世話を一身に引き受ける潔癖症になっていました。

利雄の工場では後継者として孝司(太賀)という若者が出入りするように。熱意をもつ孝司は、家族に好意的に迎えられましたが、ふとしたことから利雄に、自分の父親が八坂であることを洩らします。

見どころ

異常な緊張感

映画の冒頭から、ひたすら寒々しい家族の食卓が描かれています。彼らが発する言葉も行動も一歩間違えるとどうなってしまうか分らないというような怖さがひしひしと感じられます。

俳優陣の凄まじく抑制された演技が異常な緊張感を与え、特に主演の浅野忠信さん演じる八坂は、ただならぬ不穏さが漂う登場シーンやロボットのように背筋を伸ばした姿勢など、とても奇妙で嫌な雰囲気を醸し出しています。

しかも八坂は映画の中盤から出演していませんが、不在になってからの不気味さが際立っていて怖さが増しています。

白と赤

この映画には、白と赤が使われています。そして白が純真な心を現わし、赤が純真ではない心を現わしています。浅野忠信さん扮する八坂は、いつも白いワイシャツを着ていて、寝るときも着ています。仕事をする時には、白いツナギ。

娘の蛍の発表会用に章江が仕立てているのは赤い衣装で、八坂と章江が二人っきりになった時、傍らには赤い花が咲いています。そして、八坂が白のツナギを脱ぐと、その下から真っ赤なTシャツが現れます。

8年後に孝司が登場し、蛍の身体に触ろうとする時には赤いリュックサックがあり、映画の最後には、白いシーツの影から白いシャツの八坂が顔を覗かせます。

スタッフ

監督・脚本:深田 晃司
音楽:小野川 浩幸
主題歌:HARUHI「Lullaby」

キャスト

八坂 草太郎:浅野 忠信
利雄の旧い知人で、最近まで服役していた。

鈴岡 章江:筒井 真理子
小さな金属加工工場を営む鈴岡家の妻。

鈴岡 利雄:古舘 寛治
鈴岡家の夫で、八坂とは旧い知人。

山上 孝司:太賀
利雄が経営する工場の新人従業員。

設楽 篤:三浦 貴大
工場の古株の従業員。

鈴岡 蛍:篠川 桃音(8年後 真広 佳奈)
鈴岡家の一人娘。

 

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淵に立つ(映画)の感想

30代男性
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固い絆で結ばれた家族という関係性は、外界からの侵入者を容易に受けつけないものです。しかし、この映画の前半では浅野忠信さん演じる八坂草太郎という男が、鈴岡一家という家族の中に、実にスムーズに侵入し、居場所を確立してゆく様が描かれています。八坂草太郎が着ている白い服も、清潔感引いては潔白を象徴していて、過去を知っている鈴岡利雄はともかくとしても、妻の章江や娘の蛍の信頼を獲得する一助になっていますね。それが殺人を犯した過去を告白しても受け入れられるほどに。こうして完全に身近な存在として受け入れられた八坂草太郎が白い服を脱ぎ捨てると共に暴虐の本性を剥き出しにした時、鈴岡家の面々はあまりにも無防備で、取り返しのつかない傷を負わされてしまいます。浅野忠信さんの演技力の賜物なのでしょうが、その豹変ぶりは、下手なホラー映画よりよっぽど怖くて、見ていて思わず悲鳴を上げそうになったほどです。でも、実はもっと怖いのは鈴岡利雄かも知れませんね。愛娘を重体にさせられたのに、八坂草太郎との過去の因縁から復讐を受けた気持ちになって、それで罪を償った気になっていると思しき描写がありましたから。要所要所で意味ありげなシーンが多く、見ている側に考えさせるような、そんな映画でした。

 

50代女性
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明るい気持ちになれるような内容ではないですが、とにかく最後までぐいぐい引き込まれます。登場人物が抱える、暗く重い感情が怖くて痛いです。謎めいた八坂に惹かれてしまう、章江の気持ちも理解できなくはないんですよね。そうなるよう巧みに章江に近づく八坂が本当に恐ろしくて、でも確かに魅力も感じます。章江が八坂に流され切らずにいたところは、彼女の複雑な気持ちが表れていて、意外にも感じます。利雄が卑怯だったのは、そうなんですけど、だからと言って全く関係ない人の人生を狂わせるのはどうなんでしょうね。それが利雄本人を狙うよりも、より一層彼を苦しめられるという考えが見えてゾッとします。そうしたのは、間違いなく八坂なんだろうけど、はっきりとは描かれないのが怖さ倍増です。子供だけが理不尽にかわいそうなことになっているのが、悲しくて腹も立ちます。最後まで驚きとどうにも納得できない思いにとらわれますが、見ごたえたっぷりです。終始何か胸につかえるものが続くようで、それこそが面白みでもあります。ラスト、想像はつくものの、どうなったのか本当に知りたいです。複雑な関係に一体どんな決着がつくのか、残された人は再生できるのでしょうか。

30代女性
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浅野忠信やってくれるな~。が、大ラスの赤シャツで橋の上に(淵に)立ち、こちらを見ての笑顔。恐怖でしかない。凍りつきました。話の流れとしては、ほぼ主人公は章江(筒井真理子)です。古舘寛治演じる利雄の妻です。利雄の古い友人として、八坂(浅野忠信)が急に現れ、工場の作業員として、住み込みで家に迎えるところから始まります。作品の半分までしか出演していないのにも関わらず、強烈にずっとその存在を残し続けます。というのも、一人娘に重傷を負わせた当事者として、行方知らずになってしまった八坂を、夫婦も興信所を使い最後まで追うからであって、物語は終始所在なき八坂を感じさせます。さらに前半の刑務所上がりでワイシャツをピチッとボタンを上までしめ、腰が低く、娘が憧れるようにオルガンが弾けて、章江のプロテスタント信仰に興味を持ち、過去の過ちを反省しているかのような聖人の印象だったのが、その事件(事故?)を起点にガラッと八坂の見え方を180度変えてしまうからです。後半はそこから8年の歳月が流れ、不幸な巡り合わせで八坂の息子だという太賀演じる孝司が現れます。前半と後半の対比が、ことごとく嫌な気分にさせることこの上ない…。八坂の真っ白な衣装に、徐々に赤が増えること。河原で寝そべる幸せなあの日とラストの残酷さ。ある意味、現代、他人が家庭に入って信頼を得て事件に発展するケースも多く、どのスイッチ、何のボタンを押すのか引くのか、とても曖昧だという淵。章江の精神の限界点と言える淵。非常に重い作品でサイコパスを感じました。

30代女性
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冒頭のメトロノームとタイトルだけで不穏な雰囲気が漂っていてもうすでに怖いです。浅野忠信さん演じる八坂が登場してからはもっと怖くなります。無音のシーンから大きな音がなったり、大きな声を出したりとドキッとさせるような演出がさらに恐怖心を煽ります。八坂が歌っているシーンがめちゃくちゃ怖いです。八坂も章江も利雄も普段はあまり抑揚のない声で淡々と話しているのに突然声を荒げたり、よくわからないテンションで冗談を言ったりする不安定さにドキドキさせられます。音だけでなく色の使い方も効果的で、八坂がいつも白い服を着ているのに突然真っ赤な服で現れ不穏な空気を漂わせます。女の子の赤い服も同様にとても嫌な予感をさせます。エンドロールで流れるオルガンの音がとても奇妙でわたしには気持ち悪くさえ感じましたが、この映画にはぴったりでした。浅野忠信さんにこういう役をやらせると本当に上手です。こんなに怖がらせてくれるなんてすごい役者さんだなと感じました。夢に出てきてしまいそうなくらいです。怖いもの見たさで見る覚悟を決めてから見ることをオススメします。かなり重いです。ホラー映画にはないリアルな怖さを求めている人にはぴったりの作品です。

 

まとめ

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本ページの情報は2020年6月時点のものです。
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